第4回 AIと一緒にレポートを書く
今回の目標
- レポートと感想文の違いを理解する
- AIとの対話を通じて、レポートの「考え方」を体験する
- テーマ選定 → 構成設計 → 主張と根拠の検討 → 下書き生成の流れを身につける
- 授業外課題としてレポートを完成させる
この授業のねらい
今回の演習は、AIを使った対話的なレポート作成を実際に体験することが目的です。体験した上で「自分にはこのやり方が合っている」「もっと自分で考えて書きたい」など、自分に合ったやり方を見極めてください。どちらの選択も正解です。
AIの出力を鵜呑みにしない
AIが提案する構成・表現・根拠は、必ずしも正確・適切であるとは限りません。事実誤認や的外れな分析が含まれる場合もあります。AIの出力はあくまで「たたき台」として使い、内容が自分の意図や事実と合っているかを自分の目で確認・修正しながら進めましょう。
1. レポートとは何か
1-1. 感想文とレポートの違い
| 感想文 | レポート | |
|---|---|---|
| 目的 | 自分が感じたことを伝える | 読者を「なるほど」と納得させる |
| 主語 | 「私は〜と感じた」 | 「〇〇は〜であると考えられる」 |
| 根拠 | なくてもよい | 必須(データ・事例・比較など) |
| 構成 | 自由 | 序論→本論→結論の論理的な流れ |
| 文体 | ですます調でもOK | である調で統一 |
1-2. AI時代のレポートの書き方
AIは文章を書くことが得意です。しかし、何について、どんな主張を、どんな根拠で書くかを決めるのは人間の仕事です。
この授業では、従来の「体裁のルールを覚える」アプローチではなく、AIと対話しながらレポートの思考プロセスを体験するアプローチを取ります。
従来:ルールをたくさん覚える → 覚えきれない → 定着しない
今回:AIと対話しながら考える → 思考の流れを体験する → 考える力が残る体裁のルールは覚えなくていい?
レポートには確かに守るべき体裁ルールがあります(このページ末尾の付録を参照)。大事なのは、まず何を書くかを自分で考えることです。体裁の整え方は付録と「5. Word操作ガイド」を参照してください。
2. 今回のレポート課題
テーマ
あなたが最も影響を受けたメディア作品(ゲーム・映像・音楽・アプリ・Webサービスなど)が持つ表現の仕組みを分析し、なぜ人を惹きつけるのかを論ぜよ
要件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| テーマ | 自分が強く影響を受けたメディア作品を1つ選ぶ |
| 内容 | 単なる感想ではなく、分析と主張を展開する |
| 分量 | Word文書3〜4ページ |
| 図表 | 作品のスクリーンショットや図を最低1つ含める |
| 参考文献 | 最低1つ以上の参考文献を引用する |
| 提出 | 授業内で指示された方法で提出 |
| 期限 | 次回授業日前日まで |
「好きだから」だけでは不十分
「この作品が好きです。面白いです。」は感想文です。レポートでは「なぜ面白いのか」「どのような仕組みが人を惹きつけているのか」を分析し、根拠を示して論じる必要があります。
3. AIとの対話でレポートを作る(授業内演習)
今日の授業では、Manus AI(専用スキル)を使ってレポートの骨格を対話的に作り上げます。
3-1. 「レポート伴走AI」を準備する
まず、専用スキルをダウンロードして Manus にインストールします。
スキルのダウンロード:report-writing-companion.zip
インストール手順:
- 上のリンクから report-writing-companion.zip をダウンロードする
- manus.im にアクセスし、アカウントでログインする(第3回で作成済み)
- 画面左下の 「設定」→「スキル」→「+追加」→「スキルをアップロード」 を選択する
- ダウンロードした zip ファイルを選択してアップロードする
- 追加された「レポート伴走AI」スキルを開く
- チャット欄に「始めてください」と入力して送信する
無料プランの利用上限に注意
Manusの無料プランにはクレジット制の利用上限があります。クレジットを使い切ると、それ以上使えなくなります。無駄なやり取りを減らし、演習を計画的に進めましょう。
Enterキーに注意
チャット欄では Enter を押すとメッセージが送信されます。改行したいときは Shift + Enter を使ってください。
3-2. Phase 1 — テーマを選ぶ(10〜15分)
AIに「始めてください」と伝えると、以下のような質問が来ます:
「最近、時間を忘れて没頭したメディア作品は何ですか?」
やること:
- 自分が本当に好きな作品を正直に答える
- 「どこが好きか」「他の作品と何が違うか」をAIに聞かれるので、自分の言葉で答える
- AIが分析の切り口を提案してくれるので、一番しっくりくるものを選ぶ
選ぶ作品の例
- スマホゲーム(原神、プロセカ、モンスト、ポケモンGOなど)
- コンソールゲーム(ゼルダ、マイクラ、あつ森、スプラトゥーンなど)
- SNS・アプリ(TikTok、Instagram、Spotify、LINEなど)
- 映像作品(Netflix作品、YouTuber、MV、アニメなど)
- 音楽体験(ライブ配信、音楽ゲーム、AIプレイリストなど)
- Webサービス(Canva、Notion、Pinterest、Figmaなど)
3-3. Phase 2 — 構成を設計する(10〜15分)
テーマが決まったら、AIがレポートの構成案を提案します。
やること:
- 提案された構成を読み、「この流れで読者に伝わるか?」を考える
- 気になる点があればAIに「ここはこう変えたい」と伝える
- 特に「はじめにで立てた問いに、おわりにで答えられているか」を確認する
3-4. Phase 3 — 主張と根拠を詰める(20〜25分)
ここが最も重要なフェーズです。各セクションについてAIと議論します。
AIは各セクションの性質に応じて異なる問いかけをしてきます。共通して重要なのは、以下の3つの問いです:
| 問い | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| なぜ? | 理由・根拠を掘り下げる | 「なぜそう言えるの?」 |
| 具体的には? | 抽象的な話を具体化する | 「具体的にどの場面で?」 |
| どうやって? | 仕組みや方法を明らかにする | 「それはどんな仕組みで実現されている?」 |
やること:
- 自分の言葉で答える(うまく言えなくてOK)
- AIが学術的な表現に変換してくれるので、意味が合っているか確認する
- 答えに詰まったときは正直に言う → AIがヒントやリサーチを手伝ってくれる
「根拠」の種類
- 具体例:「このゲームでは、敵を倒すたびにエフェクトと効果音が出る」
- 比較:「類似のゲームAではこの機能がないが、Bにはある。その差が体験に影響している」
- データ・調査:「この作品は発売から1年で1000万本を売り上げた」
- 理論・概念:「フロー理論によれば、難易度とスキルのバランスが没入感を生む」
3-5. Phase 4 — 下書きを生成する(10〜15分)
Phase 3で議論した内容をもとに、セクションごとに下書きを生成します。
やること:
- AIが生成した下書きを読み、「自分の言いたいことと合っているか」を確認する
- 合っていない部分は「ここはこうじゃなくて…」「自分ならこう言う」と修正を依頼する、または自分で書き直す
- AIの出力をそのまま完成版にせず、自分の文章として自然に読めるまで修正を繰り返す
- すべてのセクションが揃ったら、全体を通して読む
- 内容に納得したら、テキストをコピーしてWordに貼り付ける
ManusのレポートをWordに書き出す手順
- セクションがすべて揃ったら、Manusに「Word形式で書き出してください」と伝える
- Manusが生成した Word ファイル(.docx)をダウンロードする
- Word で開いて、図表の挿入や体裁の調整を行う
3-6. Phase 5 — 対話サマリーを出力する
最後に、AIに「対話サマリーを出力してください」と伝えます。以下が出力されます:
- 選んだ作品とテーマ
- レポートの構成と各セクションの要約
- 各セクションの主張と根拠
- 対話を通じて気づいたこと
このサマリーは、自分がどのようにテーマを選び、何を考え、どう論理を組み立てたかの振り返り記録になります。対話が終わったら、チャット画面右上の 「共有」 からリンクを取得しておきましょう。このリンクが提出物の一部になります。
4. 授業外課題 — レポートを完成させる
4-1. やること
授業内の演習でAIと対話しながら作成した内容をもとに、自分に合ったやり方でレポートを仕上げましょう。
仕上げ方は自分で選んでいい
- AIをそのまま活用したい場合:Phase 4で生成・修正した本文をベースに、図表・参考文献・体裁を整えて完成させる
- 自分でもっと書きたい場合:授業内の対話で得た構成や視点を参考にしながら、自分の言葉で書き直す・加筆するなど、自分のペースで仕上げてかまわない
どちらの進め方でも、最終的なレポートの質が大切です。
授業外では以下の仕上げ作業を行います。
- 図表を入れる
- 作品のスクリーンショットや関連画像を最低1つ含める
- 図には番号とタイトルをつける(例:「図1 ○○の操作画面」)
- 本文中で「図1は〜を示している」のように言及する
- 手順は後述の「5. レポートの体裁を整える — Word操作ガイド」を参照
- 参考文献を追加する
- レポート内で参照した資料・Webサイトを文末にリストとして記載する
- 本文中の引用箇所に
[1]のように引用番号を振る
- 体裁を整える
- 見出しのスタイル設定、ページ番号の挿入など
- 詳細な手順は「5. Word操作ガイド」を参照
4-2. 提出物
| # | 提出物 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | レポート本体(Word文書) | 3〜4ページ、図表・参考文献含む |
| 2 | 対話チャットのリンク | Manusのチャット画面右上「共有」から取得したリンク |
対話チャットのリンク取得方法
- Phase 5でManusに「対話サマリーを出力してください」と指示する
- サマリーが出力されたら、チャット画面**右上の「共有」**をクリックする
- 表示されたリンクをコピーして、提出時に一緒に提出する
提出前チェックリスト
- [ ] レポートが感想文ではなく、分析と主張を含んでいるか?
- [ ] 各主張に根拠(具体例・比較・データ等)が示されているか?
- [ ] 「はじめに」で立てた問いに「おわりに」で答えているか?
- [ ] 図表が含まれ、番号とタイトルがついているか?
- [ ] 参考文献が記載されているか?
- [ ] 文体は「である」調で統一されているか?
- [ ] 対話チャットのリンクを取得済みか?
5. レポートの体裁を整える — Word操作ガイド
ManusがWord形式で書き出したファイルを開き、以下の操作でレポートの体裁を整えましょう。第3回で学んだフォント・配置・字下げに加え、レポートに必要な操作を紹介します。
5-1. 画像を挿入する
作品のスクリーンショットや関連画像をレポートに入れましょう。
操作手順:
- 画像を入れたい位置にカーソルを置く
- 「挿入」タブ → 「画像」 → 「このデバイス」 をクリック
- 画像ファイルを選択して 「挿入」 をクリック
画像のサイズ調整:
- 画像をクリックして選択し、四隅のハンドル(○)をドラッグしてサイズを変更
- Shift キーを押しながらドラッグ すると縦横比を維持したまま拡大・縮小できる
画像の配置:
- 画像を選択した状態で、「図の形式」タブ → 「文字列の折り返し」 → 「行内」 を選択(本文の流れに沿って配置される)
スクリーンショットの撮り方
- Windows:
Windows + Shift + Sで画面の一部を切り取り → ペイントやWordに貼り付け - Mac:
Command + Shift + 4で画面の一部を切り取り → デスクトップに保存される
5-2. 図のキャプション(番号とタイトル)をつける
レポートでは、すべての図に 番号とタイトル をつけるのがルールです。
操作手順:
- 画像の直下に新しい行を作る(画像の後ろにカーソルを置いて Enter)
- 「図1 ○○の操作画面」 のように、図番号とタイトルを入力する
- キャプションの行を 中央揃え にする
- フォントサイズを本文より少し小さく(例:9pt)すると見やすい
良い例:
図1 原神における元素反応のエフェクト表示悪い例:
ゲーム画面1 ← 何の図か分からない
スクリーンショット ← 番号がない本文中で図に言及する
図を置くだけでは不十分です。必ず本文中で「図1は〜を示している」のように言及してください。
5-3. 見出しの番号付けとスタイル
レポートの各章には番号付きの見出しを設定します。
操作手順:
- 見出しにしたい行にカーソルを置く
- 「1. はじめに」「2. 作品の概要」のように番号を手入力する
- 「ホーム」タブ → 「スタイル」グループ から 「見出し1」 を選択する
見出しスタイルを使うメリット:
- フォント・サイズ・配置が自動で統一される
- 目次を自動生成できる(長いレポートの場合)
見出しのフォントを変更するには
「見出し1」スタイルを右クリック → 「変更」で、フォントをゴシック体(例:游ゴシック)に変更できます。
5-4. ページ番号を入れる
複数ページのレポートには、ページ番号をつけましょう。
操作手順:
- 「挿入」タブ → 「ページ番号」 をクリック
- 「ページの下部」 → 好みのデザインを選択(「番号のみ2」がシンプルでおすすめ)
- ページ番号が自動で全ページに入る
5-5. 参考文献リストを作る
レポートの末尾に、参照した資料のリストを作成します。
書き方のルール:
参考文献
[1] 著者名. "タイトル", 出典(Webサイト名や雑誌名), 年.
URL(Webページの場合), 閲覧日.Webサイトを引用する場合の例:
参考文献
[1] 任天堂. "ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム 公式サイト",
https://www.nintendo.co.jp/zelda/totk/, 2026年3月閲覧.
[2] 山田太郎. "ゲームデザインにおけるフィードバックの役割",
GamesStudies.jp, 2025.本文中での引用の仕方:
× フロー理論では、没入感が生まれるとされている。
○ フロー理論では、没入感が生まれるとされている[2]。引用番号の入れ方
本文中の引用番号 [1] は半角で入力します。引用番号は文末の句点(。)の直前に置くのが一般的です。
5-6. 体裁の最終チェック
レポートが完成したら、以下を確認しましょう。
- [ ] 見出しがゴシック体、本文が明朝体になっているか
- [ ] フォントサイズが統一されているか(見出し:12〜14pt、本文:10.5pt)
- [ ] 段落の先頭が字下げされているか
- [ ] 画像に図番号とタイトルがついているか
- [ ] 本文中で図に言及しているか
- [ ] 引用箇所に引用番号が振られているか
- [ ] 末尾に参考文献リストがあるか
- [ ] ページ番号が入っているか
- [ ] 文体が**「である」調**で統一されているか
まとめ
今回はAIを思考のパートナーとして活用するレポートの書き方を学びました。
- テーマ選定 — 好きなメディア作品から分析の切り口を見つける
- 構成設計 — 読者に伝わる論理的な構成をAIと一緒に設計する
- 主張と根拠 — 「なぜそう言えるのか」を徹底的に考える
- 下書き生成 — AIに書かせ、自分の言葉で仕上げる
AIの力を借りることは「ずる」ではありません。大切なのは、何を書くべきかを自分で考えること。AIはその考えを言語化し、整理する道具です。考える力があれば、どんなテーマでもレポートが書けるようになります。
付録:レポートの体裁ルール
以下のルールは、レポートの体裁を整えるための基本事項です。レポートを仕上げる際の確認リストとして活用してください。
書式に関するルール
| # | ルール |
|---|---|
| 1 | 見出しはゴシック体、本文は明朝体を使う |
| 2 | フォントの種類・サイズは文書全体で統一する |
| 3 | 段落の冒頭は字下げ(1文字分)する |
文章に関するルール
| # | ルール | NG例 | OK例 |
|---|---|---|---|
| 4 | 「私」「僕」→「筆者」 | 私が調べた結果… | 筆者が調査した結果… |
| 5 | 「である」調で統一 | 〜だと思います | 〜であると考えられる |
| 6 | 主観的表現を避ける | すごく面白かった | 高い評価を受けている |
| 7 | 口語表現を避ける | やっぱり〜だと思う | 〜であることが示唆される |
| 8 | 曖昧な表現を避ける | 〜な気がする | 〜である可能性がある |
| 9 | 主語・述語のない不完全な文を避ける | 操作の快適性について。 | 操作の快適性について論じる。 |
| 10 | 問いかけ・依頼をしない | ご存知だろうか? | 〜が知られている。 |
構成に関するルール
| # | ルール |
|---|---|
| 11 | 段落冒頭にはその段落の概要がわかる文を置く |
| 12 | 「おわりに」ではレポート全体を振り返り、結論を述べる |
| 13 | 感想や随筆ではなく、客観的な分析として書く |
図表・引用に関するルール
| # | ルール | NG例 | OK例 |
|---|---|---|---|
| 14 | 図の下に番号とタイトルをつける | グラフ1 | 図1 触感の大きさの平均値 |
| 15 | 本文中で図の説明をする | (図だけ置く) | 図1は〜を示している。 |
| 16 | 引用箇所に引用番号を振る | 〜が知られている。 | 〜が知られている[1]。 |
| 17 | 文末に参考文献リストを作る | [1] 論文タイトル | [1] 著者名. "タイトル", 出典, 年. |
