評価手法の概要
作品を制作したら、それが「どう伝わったか」「どう体験されたか」を客観的に評価することが大切です。このセクションでは、授業で使用する2つの主要な評価手法を紹介します。
なぜ評価するのか?
自分の作品について「良い感じにできた」「面白いと思う」という主観的な感覚は大事ですが、それだけでは不十分です。評価を行うことで:
- 意図が伝わっているか確認できる — 「怖い雰囲気」を目指したのに「楽しい」と感じられていたら、改善の手がかりになる
- 改善点が見つかる — 数値やグラフで弱点が可視化される
- 他の人と共有できる — 「なんとなく良い」ではなく、データで説明できる
はかるもの
この授業では、主に以下の2つを測定します。
印象
作品から受ける印象を、複数の形容詞を使って評価します。「明るい↔暗い」「派手な↔地味な」のような対立する言葉のペアを使います。
→ SD法(Semantic Differential法) で測定
UX(ユーザー体験の品質)
作品を使った体験の品質を評価します。UXは大きく2つの側面があります:
| 品質 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 実用的品質(Pragmatic Quality) | 使いやすさ・わかりやすさ | 「操作が直感的」「すぐに使い方がわかった」 |
| 感性的品質(Hedonic Quality) | 楽しさ・魅力・新しさ | 「ワクワクする」「今までにない体験」 |
→ UEQ-S(User Experience Questionnaire - Short version) で測定
その他の評価手法(参考)
この授業では主にSD法とUEQ-Sを使いますが、研究ではこのような手法もよく使われます:
| 手法 | 測定対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| SAM | 感情(快不快・覚醒度) | イラストで直感的に回答できる |
| AttrakDiff | UX(実用的品質・感性的品質) | UEQ-Sの元になった手法 |
| POMS2 | 気分(ネガティブな側面) | 医療・心理学でよく使用 |
| 半構造化インタビュー | 体験の詳細 | あらかじめ質問を用意し、回答に応じて深掘り |
| テキストマイニング | 自由記述の傾向 | 語句の頻度や共起性を分析 |
くらべる・ほりさげる
評価をより深くするための方法:
- 要素を変えて比較する — 作品内の音や演出を変えたバージョンを用意して比較
- 媒体を変えて比較する — ヘッドホン vs スピーカー、モニター vs プロジェクタ
- 既存の作品と比較する — 似たコンセプトの作品やアプリとの比較
- 因子分析 — SD法の結果から、印象のカテゴリを統計的に抽出