UEQ-S(User Experience Questionnaire - Short version)
UEQ-Sってなに?
UEQ-S(ユーイーキュー エス)は、製品やサービスのユーザー体験(UX)の品質を手軽に測定できるアンケート手法です。たった8つの質問で、体験の良し悪しを客観的に数値化できます。
SD法との違い
- SD法 → 作品の「印象」を測る(明るい、派手、自然など)
- UEQ-S → 作品の「体験の品質」を測る(使いやすい、面白い、新しいなど)
SD法が「どんな感じ?」を聞くのに対し、UEQ-Sは「使ってみてどうだった?」を聞くものです。
UX(ユーザー体験)とは
UXは、ユーザーが製品やサービスを使う体験全体の品質です。スマホアプリを例に考えてみましょう:
使いやすさ(実用的品質)
- メニューがわかりやすい
- 操作に迷わない
- やりたいことがすぐできる
楽しさ・魅力(感性的品質)
- デザインがおしゃれ
- 使っていて楽しい
- 他にはない体験ができる
良いUXとは、この2つのバランスがとれている状態です。
8つの質問項目
UEQ-Sでは、以下の8つの形容詞対について7段階で回答します。
実用的品質(Pragmatic Quality)を測る4項目
| # | 左 | 右 | 何を測っているか |
|---|---|---|---|
| 1 | 邪魔な (obstructive) | 支援的な (supportive) | 作品が体験者の行動を助けてくれるか |
| 2 | 複雑な (complicated) | 簡単な (easy) | 操作や理解の難しさ |
| 3 | 非効率な (inefficient) | 効率的な (efficient) | 目的を達成するまでの手間 |
| 4 | 分かりにくい (confusing) | 分かりやすい (clear) | 操作方法や反応のわかりやすさ |
感性的品質(Hedonic Quality)を測る4項目
| # | 左 | 右 | 何を測っているか |
|---|---|---|---|
| 5 | 退屈な (boring) | ワクワクする (exciting) | 体験の面白さ・興奮 |
| 6 | 興味がわかない (not interesting) | 興味深い (interesting) | 好奇心を刺激するか |
| 7 | ありふれた (conventional) | 独創的な (inventive) | 新しさ・独自性 |
| 8 | 平凡な (usual) | 先端的な (leading edge) | 先進的・革新的な印象 |
回答のイメージ
邪魔な ◯───◯───◯───◯───◯───◯───◯ 支援的な
1 2 3 4 5 6 7各項目について、左の形容詞に近いほど1、右に近いほど7を選びます。
Googleフォームでアンケートを作る手順
Step 1: フォームの作成
- Google Forms を開く
- 「空白のフォーム」を選択
- タイトル:「〇〇(作品名)のUX評価アンケート」
- 説明文を追加:
この作品を体験した感想について、以下の各項目に回答してください。
それぞれの形容詞対について、あなたの体験に最も近い位置を選んでください。
直感的に回答してください(深く考えすぎないでください)。Step 2: 質問の作成
8つの形容詞対それぞれについて:
- 「質問を追加」(+ボタン)をクリック
- 質問形式を「均等目盛」に変更
- 1〜7 の目盛を設定
- ラベルを設定:
- 1 のラベル: 左側の形容詞
- 7 のラベル: 右側の形容詞
- 「必須」をオンにする
順番に注意
UEQ-Sの質問は上記の順番で並べてください。研究で検証されたフォーマットなので、順番を変えると結果の妥当性に影響する可能性があります。
データの分析手順
Step 1: データのダウンロード
- Googleフォームの「回答」タブを開く
- スプレッドシートのアイコンをクリック
- 「ファイル」→「ダウンロード」→「Microsoft Excel (.xlsx)」
Step 2: スコアの変換
回答データ(1〜7)を、UEQ-Sの分析用スコア(-3〜+3)に変換します。
変換方法: 回答値 - 4 = スコア
| 回答値 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| スコア | -3 | -2 | -1 | 0 | +1 | +2 | +3 |
ネガティブが左の項目に注意
項目1〜4(実用的品質)は左側がネガティブな形容詞なので、回答値をそのまま変換します。項目5〜8(感性的品質)も同様です。
ただし、UEQ-Sの公式の分析シートを使う場合は自動で変換されるので、この手順は不要です。
Step 3: 分析シートの使用(推奨)
UEQ-Sには公式の分析用Excelシートが用意されています。
- 分析シートを開く(授業で配布、またはUEQ公式サイトからダウンロード)
- シートを複製してから使用する
- 「Data」シートに回答データ(1〜7の値)をコピペ
- 「Results」シートに自動でグラフが生成される
Step 4: 結果の読み取り
分析シートから生成されるグラフには主に以下が含まれます:
平均値のグラフ
-3 -2 -1 0 +1 +2 +3
| | | | | | |
実用的品質 PQ ─────────────────────■■■■■─────
感性的品質 HQ ──────────────────────────■■■■■
全体 Overall ───────────────────────■■■■──- +1.0 以上: ポジティブな評価
- -1.0〜+1.0: ニュートラル(どちらとも言えない)
- -1.0 以下: ネガティブな評価
ベンチマーク比較
分析シートには、他の製品のUEQ-S結果のベンチマークデータが含まれています。自分の作品の結果を他の製品と比較できます。
| ベンチマークカテゴリ | 意味 |
|---|---|
| Excellent(最高) | 上位10%に入る |
| Good(良い) | 上位25%に入る |
| Above Average(平均以上) | 上位50%に入る |
| Below Average(平均以下) | 下位50% |
| Bad(悪い) | 下位25% |
結果の考察ポイント
実用的品質(PQ)が高い場合
→ 操作方法がわかりやすく、直感的に使えた
実用的品質(PQ)が低い場合
→ 操作方法がわかりにくい、反応が期待と違う → 改善案: キャプションに操作方法を図示する、センサの反応を調整する
感性的品質(HQ)が高い場合
→ 新しくて面白い体験ができた、ワクワクした
感性的品質(HQ)が低い場合
→ ありきたりに感じた、特に印象に残らなかった → 改善案: インタラクションに意外性を加える、音響の表現を工夫する
PQとHQのバランス
| パターン | 解釈 | 改善方向 |
|---|---|---|
| PQ高・HQ高 | 理想的な体験 | 維持・さらなる磨き上げ |
| PQ高・HQ低 | 使いやすいが退屈 | 演出や意外性の追加 |
| PQ低・HQ高 | 面白いが使いにくい | 操作性の改善、ガイダンスの追加 |
| PQ低・HQ低 | 全体的に改善が必要 | コンセプトの見直し |
スライドにまとめる
分析結果を1〜2枚のスライドにまとめましょう:
スライド1: UEQ-Sの結果グラフ
- 実用的品質・感性的品質のスコアのグラフ
- ベンチマーク比較(可能であれば)
- 回答者数
スライド2: 考察
- PQ/HQのバランスについて
- 特に高い/低い項目
- 改善案