第14回 アンケート分析
体験会で収集したアンケートデータを分析し、作品を客観的に評価します。
今回のゴール
- 収集したアンケートデータを分析し、作品の評価を客観的に行う
- SD法の結果をグラフ化し、印象を可視化する
- UEQ-Sの分析シートを使い、UXスコアを算出する
- 自由記述から改善のヒントを抽出する
準備するもの
| アイテム | 説明 |
|---|---|
| PC | Excel または Google スプレッドシート |
| アンケートの回答データ | Google フォームからダウンロード |
| UEQ-S 分析シート | 公式サイトからダウンロード |
SD法の分析手順
1. Google フォームから回答をダウンロード
- Google フォームを開く
- 「回答」 タブをクリックする
- 右上の スプレッドシートのアイコン をクリックする
- 「新しいスプレッドシートを作成」を選択する
- Google スプレッドシートが開くので、内容を確認する
CSV でダウンロードする場合
「回答」タブ → 右上の「︙」メニュー → 「回答をダウンロード(.csv)」を選択すると、CSV ファイルとしてダウンロードできます。Excel で開いて分析することもできます。
2. 各形容詞対の平均値を計算する
各形容詞対(例: 「暗い - 明るい」)について、全回答者の平均値を計算します。
手順(Google スプレッドシートの場合):
- 各質問の列を確認する(例: B列が「暗い - 明るい」の回答)
- データの最終行の下のセルに、以下の数式を入力する
=AVERAGE(B2:B20)(B2〜B20 は回答データの範囲に合わせて変更する)
- すべての形容詞対について同様に平均値を計算する
計算結果の例:
| 形容詞対 | 平均値 |
|---|---|
| 暗い (1) ← → (7) 明るい | 5.2 |
| 静かな (1) ← → (7) 騒がしい | 3.8 |
| 冷たい (1) ← → (7) 温かい | 4.6 |
| つまらない (1) ← → (7) 面白い | 5.8 |
3. 折れ線グラフの作成
平均値を折れ線グラフ(SDプロファイル)として可視化します。
Excel / Google スプレッドシートでの手順:
データの準備
- A列に形容詞対の左側の形容詞を入力する
- B列に平均値を入力する
- (比較する場合)C列に別の作品の平均値を入力する
グラフの挿入
- データ範囲を選択する
- 「挿入」→「グラフ」をクリックする
- グラフの種類で 「折れ線グラフ」 を選択する
グラフの書式設定
- 横軸に形容詞対を表示する
- 縦軸の範囲を 1〜7 に固定する
- 中央値(4.0)に 基準線 を引く
- グラフタイトルを「SD法プロファイル」にする
グラフ作成の詳細手順(Google スプレッドシート)
- A1〜A8 に形容詞(左側)を入力する
- B1〜B8 に平均値を入力する
- A1:B8 を選択する
- メニュー「挿入」→「グラフ」
- グラフエディタで「グラフの種類」を「折れ線グラフ」に変更
- 「カスタマイズ」タブをクリック
- 「縦軸」→「最小値」を
1、「最大値」を7に設定 - 「グリッドラインと目盛線」→ 目盛線の間隔を
1に設定 - 必要に応じてグラフタイトル・軸ラベルを追加
4. グラフの読み取りと考察
完成した SD プロファイルから、以下のポイントを読み取りましょう。
| 確認ポイント | 見るべきこと |
|---|---|
| 全体の傾向 | 7に近い(ポジティブ側に寄っている)項目は何か |
| 中央値との比較 | 4.0(中間)より高い/低い項目はどれか |
| 意図との一致 | 自分が表現したかった印象と一致しているか |
| ばらつき | 標準偏差が大きい項目は回答者間で印象が分かれている |
UEQ-S の分析手順
1. 回答データを分析シートにコピー
UEQ-S の公式分析シート(Excel)を使って分析します。
手順:
- UEQ-S の分析シートをダウンロードする(授業で配布、または公式サイトから入手)
- Google フォームの回答データを開く
- UEQ-S の8項目の回答を、分析シートの該当箇所にコピー&ペーストする
- 分析シートが自動的にスコアを計算する
データのコピー時の注意
- Google フォームの回答値(1〜7)をそのままコピーする
- 項目の順番が分析シートと一致しているか確認する
- 空欄や異常値がないか確認する
2. 分析シートのグラフを読み取る
分析シートには以下のグラフが自動生成されます。
| グラフ | 読み取る内容 |
|---|---|
| 項目別平均スコア | 8つの項目それぞれの平均値 |
| 尺度別スコア | 実用的品質(PQ)と感性的品質(HQ)の平均値 |
| 全体スコア | UEQ-S の総合スコア |
UEQ-S のスコアの解釈:
| スコア範囲 | 評価 |
|---|---|
| -0.8 未満 | ネガティブ評価 |
| -0.8 〜 0.8 | 中立的評価 |
| 0.8 〜 2.0 | ポジティブ評価 |
| 2.0 以上 | 非常にポジティブな評価 |
3. ベンチマークとの比較
UEQ-S の分析シートには、他の製品やサービスとの比較(ベンチマーク)機能があります。
- Excellent(上位10%): 非常に優れたUX
- Good(上位25%): 優れたUX
- Above Average(上位50%): 平均以上のUX
- Below Average(下位50%): 平均以下のUX
- Bad(下位25%): 改善が必要なUX
UEQ-Sの詳細
スコアの計算方法やベンチマークの詳しい見方は UEQ-S(UX評価) を参照してください。
自由記述の分析
共通するコメントの抽出
自由記述の回答を読み、共通するキーワードやテーマを見つけます。
手順:
- すべての自由記述回答を読む
- 似たコメントをグループにまとめる
- 各グループにラベルをつける(例: 「操作方法」「音の質」「コンセプト」)
- 多く言及されたテーマを特定する
ポジティブ/ネガティブの分類
コメントをポジティブとネガティブに分類し、それぞれの傾向を把握します。
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自由記述分析シート
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■ ポジティブなコメント
┌─────────────────────────────────────┐
│ ・「傾けると音が変わるのが直感的で面白い」 │
│ ・「深海の雰囲気がよく伝わった」 │
│ ・「泡の音がリアルで楽しかった」 │
│ │
│ → 共通テーマ: 操作の直感性、世界観の表現 │
└─────────────────────────────────────┘
■ ネガティブなコメント
┌─────────────────────────────────────┐
│ ・「最初に何をすればいいかわからなかった」 │
│ ・「音が小さくて聞き取りにくかった」 │
│ ・「ボタンの機能がわからなかった」 │
│ │
│ → 共通テーマ: 初期操作の導入、音量、説明不足 │
└─────────────────────────────────────┘考察のポイント
分析結果をもとに、以下の観点で考察を行います。
1. 意図通りの印象が伝わったか
- SD法のプロファイルを見て、自分が目指した印象と実際の評価を比較する
- 例: 「温かい雰囲気を目指したのに、『冷たい』側に評価されている」→ なぜそうなったか考える
2. UX の実用的品質 / 感性的品質のバランス
- 実用的品質(PQ) が高い → 操作がわかりやすい、使いやすい
- 感性的品質(HQ) が高い → 面白い、楽しい、刺激的
- 両方高い → 使いやすくて面白い理想的な作品
- PQ低・HQ高 → 面白いけど操作がわかりにくい → 操作方法の改善が有効
- PQ高・HQ低 → 使いやすいけど面白みに欠ける → 演出の工夫が有効
3. 改善すべき点
考察をもとに、もし今後さらに作品を改良するとしたら何をするか、具体的にまとめましょう。
| 分析結果 | 改善の方向性 |
|---|---|
| 操作方法がわかりにくい | キャプションの改善、操作の直感性の向上 |
| 音の変化が小さい | センサ値のマッピングを拡大 |
| コンセプトが伝わらない | 背景音の追加、音の選択の見直し |
| 体験が単調 | インタラクションのバリエーション追加 |
最終報告会に向けて
今回の分析結果は、第15回の最終報告会でプレゼンテーションに使います。グラフのスクリーンショットを保存しておきましょう。考察の内容もメモしておくと、スライド作成がスムーズです。
チェックリスト
- [ ] Google フォームから回答データをダウンロードした
- [ ] SD法の各項目の平均値を計算した
- [ ] SD法の折れ線グラフ(プロファイル)を作成した
- [ ] UEQ-S の回答データを分析シートにコピーした
- [ ] UEQ-S のスコアを確認した
- [ ] ベンチマークとの比較を行った
- [ ] 自由記述のコメントを分類した
- [ ] 考察をまとめた
- [ ] グラフのスクリーンショットを保存した