第12回 完成度を上げよう
体験会に向けて、作品の音響・キャプション・アンケートを仕上げます。
今回のゴール
- 作品を体験会に向けて仕上げる
- 音響のクオリティを高める
- キャプション(作品解説パネル)を制作する
- Googleフォームでアンケートを作成する
準備するもの
| アイテム | 説明 |
|---|---|
| 自分の作品 | 改善済みの状態 |
| PC | Pd + Googleアカウント |
| micro:bit + USBケーブル | 作品動作用 |
| ヘッドホン | 音の確認用 |
音響の仕上げ
音量バランスの確認
作品全体の音量バランスを最終調整します。
確認手順:
- 基準音量を決める --- 作品の中で「普通の状態」の音量を決める
- 最大音量を確認する --- センサを最大に操作したとき、音が歪まないか確認する
- 最小音量を確認する --- 最も静かな状態でも、聞こえるか確認する
- ヘッドホンを外して確認する --- スピーカーから出した場合の音量感も確認する
音量に関する重要な注意
- Pd の信号レベルは -1.0 〜 1.0 の範囲で使用する
- 1.0 を超えると クリッピング(歪み) が発生する
- 出力の直前に
[clip~ -1 1]を入れると安全 - 最終出力には
[*~ 0.5]程度の余裕を持たせる
音量リミッターの例:
[音源の信号~]
|
[clip~ -1 1] ← -1〜1の範囲にクリップ
|
[*~ 0.5] ← 最終的な音量を50%に
|
[dac~]ノイズ対策
不要なノイズが発生していないか確認しましょう。
| ノイズの種類 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 「プチッ」という音 | 値の急激な変化 | [line~] で値を滑らかに変化させる |
| 「ブーン」という低い音 | USBや電源のノイズ | ケーブルを短くする、ループを避ける |
| 「ザー」という音 | ノイズ成分が大きい | [lop~] でフィルタリングする |
| 音が途切れる | CPU負荷が高い | ブロックサイズを大きくする(メディア→オーディオ設定) |
センサの感度調整
体験者が操作しやすいように、センサの反応を調整します。
ポイント:
- デッドゾーンの設定 --- センサの有効範囲を決めて、不要な値を除外する
センサの生データを clip で有効範囲に制限してから cyclone/scale でマッピングすると、上限・下限の両方のデッドゾーンをシンプルに設定できます。
[sensor value]
|
[clip 30 220] ← 30未満・220超を切り捨て
|
[cyclone/scale 30 220 0 1000] ← 有効範囲を出力範囲にマッピング
|
[出力]詳しくは 第4回 クリッピング を参照してください。
- スムージング(平滑化) --- 値の変化を滑らかにする
授業で紹介した平滑化オブジェクトを使いましょう。
lop~: シグナルに対するローパスフィルタ。カットオフ周波数を低くするほど滑らかになるelse/smooth~: 平滑化に特化したオブジェクト。引数が大きいほど滑らかelse/s2f~: 平滑化後のシグナルを値に戻す(snapshot~の代替)
詳しくは 第4回 平滑化(スムージング) を参照してください。
キャプションの制作
キャプションとは
キャプション は、展示会場で作品の横に設置する解説パネルです。体験者が作品を理解し、正しく操作できるようにするための重要な要素です。
キャプションに含める内容
| 項目 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 作品名 | 作品のタイトル | 海中散歩 |
| 作者名 | 自分の名前 | 山田太郎 |
| コンセプト説明 | 100字程度で作品の意図を説明 | 深海の世界を音で表現。micro:bitの傾きで水深が変わり、暗さで泡が出現する |
| 操作方法 | 図解付きで操作方法を示す | イラスト付き |
操作方法の図解
操作方法は 文字だけでなく図やイラスト で示しましょう。
操作方法の図解例:
┌─────────────────────┐
│ │
│ [micro:bitの絵] │
│ │
│ ← 左に傾ける │ → 右に傾ける
│ 浅い海(高い音) │ 深い海(低い音)
│ │
│ 手で覆う → 泡の音 │
│ 離す → 泡が消える │
│ │
└─────────────────────┘レイアウトのポイント
A4サイズでの作成を推奨
- 文字サイズ: タイトルは24pt以上、本文は14pt以上(離れても読める大きさ)
- フォント: ゴシック体が読みやすい
- 余白: 十分な余白を取る
- 図のサイズ: 操作方法の図は大きく描く
- 印刷: カラー印刷を推奨
キャプションのテンプレート構成
┌──────────────────────────────┐
│ │
│ 【作品名】(大きく) │
│ │
│ 作者: ○○ ○○ │
│ │
│ ─────────────────────────── │
│ │
│ 【コンセプト】 │
│ (100字程度の説明文) │
│ │
│ ─────────────────────────── │
│ │
│ 【操作方法】 │
│ (図解 + 簡潔な説明) │
│ │
│ │
└──────────────────────────────┘アンケートの作成
Google フォームでの作成手順
体験会でのアンケートを Google フォームで作成します。
1. Google フォームを開く
- Google アカウントにログインする
- Google フォーム にアクセスする
- 「空白」 をクリックして新しいフォームを作成する
- フォームのタイトルを「作品名 + 体験アンケート」にする
2. SD法のアンケート項目を追加する
SD法(Semantic Differential method)は、形容詞対を使って印象を評価する手法です。
設定手順:
- 質問を追加し、種類を 「均等目盛り」 に変更する
- 最小値のラベルに左側の形容詞(例: 「暗い」)を入力する
- 最大値のラベルに右側の形容詞(例: 「明るい」)を入力する
- 目盛りを 1〜7 に設定する(7段階評価)
- すべての形容詞対について繰り返す
SD法の詳細
形容詞対の選び方や分析方法の詳細は SD法(印象評価) を参照してください。
3. UEQ-S のアンケート項目を追加する
UEQ-S(User Experience Questionnaire - Short version)は、ユーザー体験を「実用的品質」と「感性的品質」の2つの観点から評価する手法です。
設定手順:
- SD法と同様に 「均等目盛り」 で質問を追加する
- UEQ-S の8つの項目を追加する
- 目盛りを 1〜7 に設定する
UEQ-Sの詳細
項目の内容や分析シートの使い方は UEQ-S(UX評価) を参照してください。
4. 自由記述欄を追加する
最後に、自由記述の質問を追加します。
追加する質問例:
| 質問 | 種類 |
|---|---|
| 「作品の良かった点を教えてください」 | 段落(長文回答) |
| 「改善した方がよいと思う点があれば教えてください」 | 段落(長文回答) |
| 「その他、感想があれば自由にお書きください」 | 段落(長文回答) |
5. フォームの設定
- 設定タブで 「メールアドレスを収集しない」 に設定する(匿名アンケート)
- 「回答を1回に制限する」 をオフにする(複数作品を評価するため)
- プレビューで動作を確認する
- QRコード を生成して、キャプションに貼り付けると便利
アンケート作成時の注意
- 必須項目は最小限にする(回答のハードルを下げる)
- 質問文は短く明確にする
- 体験直後に回答できるよう、スマートフォンでも回答しやすいレイアウトにする
チェックリスト
- [ ] 音量バランスを確認し、クリッピングがないことを確認した
- [ ] 不要なノイズを除去した
- [ ] センサの感度を調整した
- [ ] キャプション(A4サイズ)を作成した
- [ ] キャプションに作品名、作者名、コンセプト、操作方法を記載した
- [ ] Google フォームでアンケートを作成した
- [ ] SD法の項目を追加した
- [ ] UEQ-S の項目を追加した
- [ ] 自由記述欄を追加した
- [ ] アンケートの動作を確認した